税務・法務(一般情報)

ドバイ不動産 売買契約書(SPA)の注意点

監修:森 和孝(税理士・国際弁護士) | 本記事は一般的な情報提供です

ドバイのオフプラン購入では、売買契約書(SPA/Sale and Purchase Agreement)に署名する前に確認すべき点がいくつもあります。本記事は、実際の契約に共通して見られる条項の『型』を、個人情報・取引情報を含まない形で一般化し、国際弁護士・税理士監修で整理したものです。なお、解約や既払い金の扱いには契約より優先する法律上のルール(ドバイ=Law No.19 of 2017)もあるため、その要点も併せて解説します(一般的な情報提供であり、個別の法律助言ではありません)。

ご確認ください(免責)本記事は2026年時点の一般的な情報提供であり、個別の法律・税務アドバイスではありません。売買契約(SPA)の実際の効力は各契約の文言により異なります。署名前に必ず契約書原本の条項をご確認のうえ、必要に応じて専門家にご相談ください。

まず確認すべき2点(最重要)

オフプランの売買契約書では、数ある条項のなかでも特に次の2点を、署名前に必ず確認することをおすすめします。

① 転売(アサインメント)の条件とNOC発行要件

支払い済みの割合だけでは転売できない場合があります。たとえば「累計50%以上を支払い、かつ直近の分割金の支払いが完了していること」が条件の場合、累計70%を支払っていても、次の分割金(例:10%)を支払うまでNOC(譲渡承諾書)が発行されず、転売できないことがあります。契約前に「転売に必要な累計支払割合」と「NOC発行の前提条件」をご確認ください。

② 支払いが続けられなくなった場合の既払い金

購入後に分割金を支払えなくなった場合、すでに支払った金額がどこまで戻るかは、契約書だけでなく法律で上限が定められています(ドバイ=Law No.19 of 2017。工事の完成度に応じて留保上限が変わる/次章で詳述)。契約にこれより不利な条項がないかを、署名前にご確認ください。

【重要】解約・既払い金は『法律』で上限が決まる(契約より優先)

オフプランの解約条件や既払い金の扱いは、契約書(SPA)の文言だけで決まるわけではありません。ドバイではLaw No.19 of 2017(オフプラン登記を定めた Law No.13 of 2008 第11条の改正)が、買主が支払いを怠った場合にデベロッパーが留保できる金額の上限を、工事の完成度に応じて法律で定めています。契約にこれより買主に不利な条項があっても、原則として法律が優先します。

買主が支払えなくなったとき(ドバイ|Law 19/2017)

手続と返金:DLDが買主に通知し、30日間の是正期間が与えられます。是正されない場合、裁判・仲裁を経ずに契約解約とOqood(暫定登記)の抹消が行われます。留保上限を超えて支払い済みの金額は、解約から1年以内、または物件の再販から60日以内に買主へ返金されます。さらにRERAがプロジェクト自体を取り消した場合は、エスクローから全額返金。いずれの場合も買主は裁判・仲裁に訴える権利を保持します。

アブダビは別ルール(Law No.2 of 2025)

アブダビではLaw No.2 of 2025により、買主の債務不履行時、デベロッパーは法的手続き(書面通知・是正期間の付与・ADRECへの通知と友好的解決の試み)を踏めば裁判を経ずにSPAを解除できます。買主は暫定不動産登記(Interim Real Estate Register)から抹消され、ユニットは再販されます。エスクロー資金は法律で保護され、買主は裁判・仲裁の権利を保持します(返金は通常15営業日、違法な徴収は30日以内)。ビザと同様、解約・返金のルールも首長国(エミレーツ)ごとに異なる点に注意してください。

※ 留保割合・手続・期間は2026年時点の一般的な情報です。実際の適用は完成度・契約・当局の運用により異なります。具体的な事案は専門家・DLD/ADREC等の一次情報でご確認ください。

その他の確認ポイント(契約に共通する条項の型)

以下は、ドバイのオフプラン契約に共通して見られる条項の型です(特定の契約・当事者の情報は含みません)。実際の文言は契約ごとに異なるため、原本でのご確認をおすすめします。

出典・参考

※ タックスアンサー番号・条文は変更され得ます。最新の内容は国税庁・UAE FTA等の一次情報および専門家にてご確認ください。

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よくあるご質問

70%払えば自由に転売できますか?
必ずしも自由には転売できません。転売(アサインメント)には累計支払割合の下限に加え、直近分割金の完了などの追加条件が課され、条件を満たすまでNOC(譲渡承諾書)が発行されないことがあります。契約書で「転売に必要な累計支払割合」と「NOC発行条件」を事前にご確認ください。
途中で払えなくなったら、払ったお金は戻りますか?
契約の文言だけでなく、ドバイでは法律(Law No.19 of 2017)でデベロッパーが留保できる上限が工事の完成度に応じて定められています。たとえば完成度60〜80%なら売買代金の最大40%、60%未満なら最大25%、未着工なら払込額の最大30%まで。これを超えて支払い済みの金額は、解約から1年以内または再販から60日以内に返金されます。RERAがプロジェクトを取り消した場合は全額返金です(アブダビはLaw No.2 of 2025で別ルール)。
契約書はアラビア語と英語のどちらが優先しますか?
多くのSPAでは、英語版とアラビア語版に齟齬がある場合に一方を優先する条項が置かれます(実務上は英語版優先が多く見られます)。どちらが優先するか、署名前に条項でご確認ください。
Oqood登録やDLDの費用は誰が負担しますか?
一般には購入者負担となることが多いですが、価格に含まれるか別途かを含め契約により異なります。費用の負担者と金額の目安を事前にご確認ください。
署名後すぐに返送しないとどうなりますか?
契約に署名・返送の期限が定められ、超過すると申込みが自動失効し、場合によっては既払い金が没収される条項もあります。提示された期限と超過時の扱いを必ずご確認ください。
解約に裁判は必要ですか?
ドバイ(Law No.19 of 2017)では、DLDの通知後に買主へ30日の是正期間を与え、是正されなければ裁判・仲裁を経ずに解約・登記抹消ができます。アブダビ(Law No.2 of 2025)も、所定の手続き(通知・是正期間・ADRECへの通知)を経れば裁判によらず解除が可能です。いずれの場合も買主は裁判・仲裁に訴える権利を保持します。
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本記事は2026年6月11日現在の一般的な情報提供であり、個別の法律助言ではありません。最終的なご判断は、契約書原本のご確認とともに、お客様ご自身および専門家にご相談のうえお願いいたします。

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