制度ガイド(ドバイ×アブダビ)

ドバイ×アブダビ 不動産取引のAML・罰則・法体系

監修:森 和孝(国際弁護士・税理士) | 国際弁護士・税理士であり、ドバイ(DLD/RERA)・アブダビ(ADREC)両首長国の政府公認ブローカー(DLD ORN 47845/ADREC 20260000902169)が監修。本記事は一般的な情報提供です。

UAEの不動産取引には、連邦のマネーロンダリング対策法、本人確認・顧客管理、疑わしい取引の報告義務が適用されます。現行の基本法はFederal Decree-Law No.10 of 2025、施行規則はCabinet Resolution No.134 of 2025です。不動産ブローカー・エージェントは、顧客のために不動産の購入・売却に関する取引又は決済を締結する場合、DNFBPとして規制対象になります。以下は主なAML関連罰則の抜粋です。虚偽・誤認広告、法体系、紛争解決はAML罰則とは別の制度であるため、項目を分けて説明します。

ご確認ください(免責)本ページは制度の一般的な比較・情報提供です。手数料率・法令番号・運用は改正や運用変更により変わり得ます。最新かつ個別の取扱いは一次情報(DLD/RERA・ADREC等の公式情報および連邦法・首長国法)および専門家にてご確認ください。特定物件の取得を勧誘するものではありません。

登記、エスクロー、AML/KYCは、本人確認、資金の追跡可能性、買主資金の分別管理を通じて不正リスクの抑制に寄与します。ただし、制度の存在は個別取引の安全性や投資成果を保証するものではありません。免許、広告許可、登記、エスクロー口座、契約当事者を取引ごとに確認してください。

円換算は1 AED=44円(2026年7月16日時点)の概算。刑の具体的な適用は事案・裁判判断による。

主なAML関連罰則(連邦罰則・両首長国共通)

項目適用対象主な内容
マネーロンダリング自然人拘禁1~10年+AED 100K~5M(約440万~2.2億円)又は犯罪財産相当額のいずれか高い方
加重マネーロンダリング職権・職務利用、NPO経由、組織犯罪、一定の前提犯罪、累犯等一時的拘禁+AED 1M~10M(約4,400万~4.4億円)又は犯罪財産価値の2倍のいずれか高い方
法人によるML・TF・PF代表者等が法人のため又は法人名義で実行AED 5M~100M(約2.2億~44億円)又は犯罪財産相当額のいずれか高い方
法人による関連犯罪代表者等が法人のため又は法人名義でSTR義務違反、Tipping Off、対象活動の無免許営業等を実行AED 200K~10M(約880万~4.4億円)
STR義務違反金融機関、対象となる不動産仲介等のDNFBP、VASPの故意又は重過失拘禁+AED 100K~1M(約440万~4,400万円)、又はいずれか
Tipping Off審査中の疑わしい取引情報、当局の照会・捜査等を不当に開示拘禁+AED 50K(約220万円)以上、又はいずれか。同条項に上限額・拘禁期間の明記なし
対象活動の無免許・無登録第20条の金融活動・DNFBP活動・VASP活動等拘禁+AED 200K~10M(約880万~4.4億円)、又はいずれか
行政罰監督下の金融機関・DNFBP・VASP・NPO等監督当局は、警告、AED 10K~5M/違反(約44万~2.2億円)、業務停止・制限、免許取消等を課し得る

一次出典:Federal Decree-Law No.10 of 2025(AML/CFT/CPF)/Cabinet Resolution No.134 of 2025(同施行規則) / 2026年7月16日現在。横スクロールで全項目を表示できます。

注:この表は主な条項の抜粋です。匿名性の高いVirtual Assetに関する行為、Targeted Financial Sanctions違反、申告・Beneficial Owner情報等に関する罰則も別に定められています。

業者の公認資格(DLD/RERA・ADREC)の確認方法は登録情報と信頼性で解説しています。

虚偽・誤認広告(AMLとは別制度)

Federal Law No.15 of 2020 on Consumer Protectionは、広告主・提供者・商業代理人が商品・サービスについて虚偽の情報を記載し、又は誤認を招く方法で広告することを禁止しています。第17条違反には、2年以下の拘禁およびAED 10,000~2,000,000(約44万~8,800万円)の罰金、又はいずれか一方が科され得ます。再犯時は刑が倍加します。同法はUAE国内のサービスに適用され、フリーゾーンも含みます。これはAML法上の罰則ではありません。また、個別の不動産広告にはDubai・Abu Dhabiの広告許可・不動産規制も適用され得ます。

一次出典:Federal Law No.15 of 2020 on Consumer Protection(第3・17・29条) / 2026年7月16日現在

法体系

UAE本土では、連邦法・首長国法からなる成文法体系が適用され、民事取引はFederal Decree by Law No.25 of 2025 Promulgating the Civil Transactions Lawを中核とします。Islamic Shariaは憲法上、立法の主要な源泉であり、分野・条文に応じて役割を持ちます。DIFCとADGMは、それぞれの管轄範囲で独自のcommon-law-based courts/legal frameworkを有します。Dubai全域又はAbu Dhabi全域にDIFC・ADGM法が一律に適用されるわけではありません。

一次出典:Federal Decree by Law No.25 of 2025 Promulgating the Civil Transactions Law/UAE憲法/DIFC Courts・ADGM 公式FAQ / 2026年7月16日現在

紛争解決

紛争の解決機関は、所在地、契約、請求内容、仲裁合意等により異なります。Dubaiの通常の賃貸紛争は原則としてRental Disputes Center(RDC)が扱いますが、法定除外があります。Abu Dhabiの賃貸紛争はAbu Dhabi Judicial Department(ADJD)のRental Dispute Settlement Committeesが扱います。Dubai Decree No.33 of 2020のSpecial Tribunalは、Dubaiの未完成又は取消済み不動産プロジェクトに関する一定の請求を対象とし、一般の売買紛争すべてを扱う機関ではなく、DIFC内のプロジェクトは同Decreeの対象外です。仲裁は有効な仲裁合意がある場合に利用でき、仲裁機関・仲裁地・規則は契約によって異なります。DIACは仲裁機関の一例です。ADGMは仲裁地・法的枠組み及び審問施設を提供しますが、ADGM Dispute Resolution Hearing Centre自体は仲裁機関ではありません。

一次出典:Dubai Decree No.26 of 2013(RDC)/Dubai Decree No.33 of 2020(Special Tribunal)/ADJD Rental Dispute Settlement Committees/DIAC Rules/ADGM Arbitration Regulations and official FAQ / 2026年7月16日現在

出典・参考

※ 手数料率・法令番号・運用は変更され得ます。最新の内容はDLD/RERA・ADREC等の一次情報および専門家にてご確認ください。

改訂履歴

【改訂履歴】2026年7月16日:UAEのAML法制改正を反映し、根拠法をFederal Decree-Law No.20 of 2018からNo.10 of 2025へ、施行規則をCabinet Resolution No.134 of 2025へ更新しました。旧Cabinet Resolution No.10 of 2019は2025年12月14日付で廃止されています。自然人・法人の主な罰則、STR義務違反、Tipping Off、対象活動の無免許・無登録営業、行政罰を現行条文に合わせて改めました。虚偽・誤認広告はAML法ではなくFederal Law No.15 of 2020 on Consumer Protectionの項目として分離しました。また、DubaiとAbu Dhabiの賃貸紛争機関、未完成・取消済みプロジェクトのSpecial Tribunal、DIACとADGMの役割を区別しました。(初版公開日:2026年6月30日)

はじめての方はこちら:購入から出口までの完全ガイド

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よくあるご質問

ドバイやアブダビの不動産取引は安全ですか?
登記、エスクロー、AML/KYCは、本人確認、資金の追跡可能性、買主資金の分別管理を通じて不正リスクの抑制に寄与します。ただし、制度の存在は個別取引の安全性や投資成果を保証するものではありません。免許、広告許可、登記、エスクロー口座、契約当事者を取引ごとに確認してください。
AML上の本人確認(KYC)では何を確認しますか?
対象事業者は、顧客・実質的支配者の本人確認、取引目的、資金源・財産源等をリスクに応じて確認し、取引を継続的にモニタリングします。疑わしい取引又は資金については、金額を問わずFIUへの報告義務が生じ得ます。不動産ブローカー・エージェントは、顧客のために不動産の購入・売却に関する取引又は決済を締結する場合、DNFBPとして規制対象になります。根拠法はFederal Decree-Law No.10 of 2025及びCabinet Resolution No.134 of 2025です。
不動産売買・賃貸の紛争はどこで解決しますか?
所在地、契約、請求内容、仲裁合意等により異なります。Dubaiの通常の賃貸紛争は原則RDC、Abu Dhabiの賃貸紛争はADJDのRental Dispute Settlement Committeesが扱います。Dubai Decree No.33 of 2020のSpecial Tribunalは、Dubaiの未完成・取消済みプロジェクトに関する一定の紛争に限られます。一般の売買紛争は、契約、所在地、当事者、仲裁合意等に応じてDubai Courts、Abu Dhabi Courts、DIFC Courts、ADGM Courts又は仲裁等の管轄を個別に確認する必要があります。
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本ページは制度の一般的な比較・情報提供です。手数料率・法令番号・運用は改正や運用変更により変わり得ます。最新かつ個別の取扱いは一次情報(DLD/RERA・ADREC等の公式情報および連邦法・首長国法)および専門家にてご確認ください。特定物件の取得を勧誘するものではありません。

※ 日系ブローカー取引実績No.1・ドバイ政府公式4つ星は2026年7月時点・当社調べ。

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