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LEGAL & TAX NOTES / DUBAI / 法人の実質免税

税務・法務(一般情報)

UAE法人の「実質免税」は2029年末まで延長:不動産保有法人の対応チェックリスト

執筆:森 和孝|国際弁護士(UAE・日本・SG)・税理士 | 本記事は一般的な情報提供です

訂正(2026年9月26日)

この記事は当初、中小企業向け救済措置(Small Business Relief)が2026年12月31日までに終了する課税期間で終わるという前提で書かれていました。その後、大臣決定2026年第131号(2026年7月29日付・UAE財務省が8月7日に公表)により、この措置は2029年12月31日までに終了する課税期間まで延長されたため、2026年9月26日に題名と本文を延長後の期限に合わせて訂正しました。売上AED300万の基準、対象外となる事業者(適格フリーゾーン法人など)、毎期の申告で選択が必要な点は変わっていません。

公式出典:UAE財務省の発表(2026年8月7日・英語)

「ドバイの法人は小さければ税金ゼロ」——この前提の期限は、2029年12月31日までに終了する課税期間まで延長されました。ただし、期限があることは変わりません。

ご確認ください(免責)

本記事は2026年時点の一般的な情報提供であり、個別の税務・法務アドバイスではありません。税制・実務は改正され得るため、結論はお客様の状況によって異なります。最新かつ個別の判断は、必ず専門家・税務署にご相談ください。

UAEの法人税(標準9%)には、年間売上AED300万(約1.3億円)以下の事業者が「課税所得ゼロ」を選択できる移行措置——中小企業向け救済措置(Small Business Relief、閣僚決定第73号/2023)——があります。不動産を保有するだけの小規模法人の多くが、この枠で実質無税を維持してきました。

当初の期限は2026年12月31日までに終了する課税期間でしたが、大臣決定2026年第131号(2026年7月29日付・UAE財務省が8月7日に公表)により、2029年12月31日までに終了する課税期間まで延長されました。売上AED300万の基準、対象外となる事業者(適格フリーゾーン法人など)、毎期の申告で選択が必要な点は変わっていません。期限の後は、売上規模にかかわらず、UAE法人は「申告して、帳簿を備え、利益が出れば納税する」通常運転に入ります。

期限の後に何が変わるのか(3行で)

  1. 税額:課税所得のうちAED375,000超の部分に9%。不動産1〜2戸の保有法人なら税額自体は限定的なことが多い
  2. 実務:毎年の法人税申告・会計帳簿(発生主義)の整備が恒常義務に。「申告ゼロ選択」の簡便さは消える
  3. 視界:QFZP(適格フリーゾーン法人)の0%は別制度として残るが、不動産賃貸収入は適格所得に該当しない場合が多く、救済措置の代替にはなりにくい

期限までと期限の後

観点2029年12月31日までに終了する課税期間2029年12月31日より後に終了する課税期間
税額売上AED300万以下なら課税所得ゼロを選択できる(中小企業向け救済措置)課税所得のうちAED375,000超の部分に9%
実務「申告ゼロ選択」の簡便さがある毎年の法人税申告・会計帳簿(発生主義)の整備が恒常義務
QFZP(適格フリーゾーン法人)―0%は別制度として残るが、不動産賃貸収入は適格所得に該当しない場合が多い

対応チェックリスト(期限までに確認すべき5点)

① 自社の課税期間の「最後の適用年度」を確定する

12月決算なら2029年12月期が最後。決算期がずれている法人は「2029年12月31日までに終了する課税期間」がどこかをまず特定してください。

② 救済措置は「選択制」——申告での明示的な選択を忘れない

自動適用ではありません。最後の適用年度の申告で選択を行わないと、使えたはずの免税を落とします。

③ 期限の後の帳簿体制を、期限までに整える

発生主義の会計帳簿・証憑保存(インボイス・経費記録)。「税金ゼロだから帳簿は後回し」だった法人ほど、切り替えの負担が大きくなります。

④ 税額の試算をしておく

設例:賃料収入60万AED・課税所得40万AEDの保有法人なら、(40万−37.5万)×9%=2,250AED(約10万円)。税額よりも、申告・会計のランニングコスト(記帳・申告代行費用)が実質の負担になるケースが多いはずです。

⑤ 「器」自体の見直しは、単年の税額でなく出口まで見て

法人維持コスト>節税メリットに逆転するなら、個人保有への切り替えも選択肢です。ただし移転にはUAE側の登録料・日本側の課税問題が伴い、単純比較はできません。器の選び方の全体像は「個人と法人どちらで持つ?」で詳しく解説しています。

チェックリスト(一覧)

ステップ確認すること要点
①自社の課税期間の「最後の適用年度」を確定する12月決算なら2029年12月期が最後。決算期がずれている法人は「2029年12月31日までに終了する課税期間」を特定する
②救済措置の選択を申告で明示する自動適用ではない。最後の適用年度の申告で選択を行わないと、使えたはずの免税を落とす
③期限の後の帳簿体制を、期限までに整える発生主義の会計帳簿・証憑保存(インボイス・経費記録)
④税額の試算をしておく賃料収入60万AED・課税所得40万AEDなら (40万−37.5万)×9%=2,250AED(約10万円)。申告・会計のランニングコストが実質の負担になるケースが多い
⑤「器」自体の見直しは出口まで見て判断する法人維持コスト>節税メリットに逆転するなら個人保有への切り替えも選択肢。移転にはUAE側の登録料・日本側の課税問題が伴う

日本側の論点も消えない

UAE側の話だけで完結しません。日本居住者が実体の乏しいUAE法人を保有する場合、外国子会社合算税制(CFC)により法人の所得が日本の株主側で合算課税されるリスクは、救済措置の有無と無関係に存在します。救済措置の期限を見据えて、UAE側・日本側の両面からストラクチャーを点検することをお勧めします。

まとめ

  • 売上AED300万以下の実質免税は2029年12月31日までに終了する課税期間まで延長(大臣決定2026年第131号)
  • 期限の後は申告・帳簿・9%課税が標準。税額より実務負担の恒常化が本質
  • 最後の適用年度の「選択」を落とさない。帳簿体制は期限までに
  • 器の見直しは出口(売却・承継)まで含めて。日本側CFCの点検も同時に

この判断は、UAEの税制と日本の国際課税の両方に跨ります。当社(Eminence Luxe)では、税理士・国際弁護士の資格を持つ代表が、購入前のストラクチャー相談から承継まで一貫してサポートしています(法的助言・税務申告は提携する各国の資格専門家が担当します)。無料相談はこちら/LINEで相談

税金の全体像は「ドバイ不動産の税金【2026年決定版】」をご覧ください。

出典・参考

  • UAE Federal Decree-Law No.47 of 2022(法人税法)
  • Ministerial Decision No.73 of 2023(中小企業向け救済措置/Small Business Relief)
  • UAE財務省(Ministry of Finance)・連邦税務庁(FTA)の公式ガイダンス
  • Ministerial Decision No.131 of 2026(中小企業向け救済措置の期限を2029年12月31日までに終了する課税期間へ延長・2026年7月29日付/UAE財務省が2026年8月7日に公表)

※ タックスアンサー番号・条文は変更され得ます。最新の内容は国税庁・UAE FTA等の一次情報および専門家にてご確認ください。

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本記事は2026年時点の一般的な情報提供であり、個別の税務・法務アドバイスではありません。税制・実務は改正され得るため、結論はお客様の状況によって異なります。最新かつ個別の判断は、必ず専門家・税務署にご相談ください。

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