2027年、UAE法人の「実質免税」が終わる:不動産保有法人の対応チェックリスト
「ドバイの法人は小さければ税金ゼロ」——この前提が、2026年12月31日で期限を迎えます。
UAEの法人税(標準9%)には、年間売上AED300万(約1.3億円)以下の事業者が「課税所得ゼロ」を選択できる移行措置——中小企業向け救済措置(Small Business Relief、閣僚決定第73号/2023)——があります。不動産を保有するだけの小規模法人の多くが、この枠で実質無税を維持してきました。
この措置が適用できるのは、2026年12月31日までに終了する課税期間が最後です。延長は本稿執筆時点で公表されていません。つまり2027年以降、売上規模にかかわらず、UAE法人は「申告して、帳簿を備え、利益が出れば納税する」通常運転に入ります。
何が変わるのか(3行で)
- 税額:課税所得のうちAED375,000超の部分に9%。不動産1〜2戸の保有法人なら税額自体は限定的なことが多い
- 実務:毎年の法人税申告・会計帳簿(発生主義)の整備が恒常義務に。「申告ゼロ選択」の簡便さは消える
- 視界:QFZP(適格フリーゾーン法人)の0%は別制度として残るが、不動産賃貸収入は適格所得に該当しない場合が多く、救済措置の代替にはなりにくい
対応チェックリスト(2026年内に確認すべき5点)
① 自社の課税期間の「最後の適用年度」を確定する
12月決算なら2026年12月期が最後。決算期がずれている法人は「2026年12月31日までに終了する課税期間」がどこかをまず特定してください。
② 救済措置は「選択制」——申告での明示的な選択を忘れない
自動適用ではありません。最後の適用年度の申告で選択を行わないと、使えたはずの免税を落とします。
③ 2027年以降の帳簿体制を今年のうちに整える
発生主義の会計帳簿・証憑保存(インボイス・経費記録)。「税金ゼロだから帳簿は後回し」だった法人ほど、切り替えの負担が大きくなります。
④ 税額の試算をしておく
設例:賃料収入60万AED・課税所得40万AEDの保有法人なら、(40万−37.5万)×9%=2,250AED(約10万円)。税額よりも、申告・会計のランニングコスト(記帳・申告代行費用)が実質の負担になるケースが多いはずです。
⑤ 「器」自体の見直しは、単年の税額でなく出口まで見て
法人維持コスト>節税メリットに逆転するなら、個人保有への切り替えも選択肢です。ただし移転にはUAE側の登録料・日本側の課税問題が伴い、単純比較はできません。器の選び方の全体像は「個人と法人どちらで持つ?」で詳しく解説しています。
日本側の論点も消えない
UAE側の話だけで完結しません。日本居住者が実体の乏しいUAE法人を保有する場合、外国子会社合算税制(CFC)により法人の所得が日本の株主側で合算課税されるリスクは、救済措置の有無と無関係に存在します。2027年の変化を機に、UAE側・日本側の両面からストラクチャーを点検することをお勧めします。
まとめ
- 売上AED300万以下の実質免税は2026年12月31日終了課税期間で終わる
- 2027年以降は申告・帳簿・9%課税が標準。税額より実務負担の恒常化が本質
- 最後の適用年度の「選択」を落とさない。帳簿体制は2026年内に
- 器の見直しは出口(売却・承継)まで含めて。日本側CFCの点検も同時に
この判断は、UAEの税制と日本の国際課税の両方に跨ります。当研究所を運営するEminence Luxeでは、税理士・国際弁護士の資格を持つ代表が、購入前のストラクチャー相談から承継まで一貫してサポートしています(法的助言・税務申告は提携する各国の資格専門家が担当します)。無料相談はこちら/LINEで相談
税金の全体像は「ドバイ不動産の税金【2026年決定版】」をご覧ください。
出典・参考
- UAE Federal Decree-Law No.47 of 2022(法人税法)
- Ministerial Decision No.73 of 2023(中小企業向け救済措置/Small Business Relief)
- UAE財務省(Ministry of Finance)・連邦税務庁(FTA)の公式ガイダンス
※ タックスアンサー番号・条文は変更され得ます。最新の内容は国税庁・UAE FTA等の一次情報および専門家にてご確認ください。
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本記事は2026年時点の一般的な情報提供であり、個別の税務・法務アドバイスではありません。税制・実務は改正され得るため、結論はお客様の状況によって異なります。最新かつ個別の判断は、必ず専門家・税務署にご相談ください。