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EMINENCE REPORT — ABU DHABI H1 2026

アブダビ不動産市場
2026年上半期 分析と見通し

特集:静かな首都が、世界資本の次の受け皿へ
2026年7月22日発行/全44ページ/監修:森 和孝(国際弁護士・税理士/DLD・ADREC公認ブローカー)
5.15兆円
上半期の取引総額(AED 117B)
前年同期比+112%増
+309%
外国直接投資(約6,072億円)
2025年通期を半年で上回る
3.79兆円
売買総額(AED 86.1B・16,838件)
取引総額の73.6%を占める
116国籍
非居住投資家の国籍数
前年の82から多国籍化
50地区
外国人が所有できる投資区域
上半期に8地区を追加
約5.8万戸
2030年までの住宅供給増(予測)
40.1万戸→45.9万戸

2026年上半期、アブダビの不動産取引総額は約5.15兆円(AED 117B)に達しました。前年同期比では+112%増。売買額は約3.79兆円(AED 86.1B)、外国直接投資は約6,072億円(AED 13.8B)まで拡大しています。規模ではドバイが先行していますが、伸びの速さではアブダビが際立ちます。外国人が所有できる投資区域の拡大、人口・雇用の増加、ADGMを中心とする金融機能、文化・観光施設への投資、質の高い新規住宅供給が重なった結果です。本レポートでは、ADREC(Abu Dhabi Real Estate Centre)の公式データをもとに、2026年上半期の市場を分析します。

本レポートの約束事:取引データはADREC(Abu Dhabi Real Estate Centre)の2026年上半期公式発表(2026年7月17日)および2026年第1四半期公式発表(2026年4月7日)から取得しています。価格・賃料・供給はADREC Abu Dhabi Real Estate Market Report 2025に基づき、2026年上半期の値ではない点を都度明記します。円換算は全ページ共通で 1AED=44円(data/fx.json・2026年7月11日時点)。推計・補間による数値の創作は行いません。第2四半期の内訳など、公式発表の累計値から算出した数値は当社計算値として明記します。

CHAPTER 01「次の注目市場」は、すでに数字で始まっている

2025年通期のアブダビ不動産取引総額は約6.25兆円(AED 142B)でした。2026年は、その約82%に半年で到達しています。単純に2倍して年間数値を予測することはできませんが、2026年に入って市場の基準値が一段上がったことは明らかです。

特に注目すべきは、売買額が前年同期比+163.7%増となったことです。価格の上昇だけではなく、売買件数と大型プロジェクトの販売が同時に拡大しています。取引件数も前年同期比+61.7%増でした。

四半期取引総額(兆円)約2.90兆円第1四半期四半期として過去最高約2.24兆円第2四半期記録的な立ち上がり後の正常化
出典:ADREC 2026年上半期公式発表(2026年7月17日)・2026年第1四半期公式発表(2026年4月7日)。第2四半期は上半期累計約5.15兆円(AED 117B)からQ1を差し引いた当社計算値。円換算1AED=44円(2026年7月11日時点換算)。

2026年第1四半期の取引総額は約2.90兆円(AED 66B)で、四半期として過去最高でした。上半期累計約5.15兆円からQ1を差し引くと、第2四半期は約2.24兆円(AED 51B)です。Q1比では落ち着きましたが、記録的な立ち上がり後の正常化と見るのが自然です。Q2の売買額は約1.54兆円(AED 35.1B)、モーゲージは約5,148億円(AED 11.7B)と計算されます。

指標上半期前年同期比
取引総額約5.15兆円(AED 117B)+112%
取引件数+61.7%
売買総額約3.79兆円(AED 86.1B・16,838件)+163.7%
モーゲージ約1.17兆円(AED 26.7B・8,876件)+33.5%
外国直接投資約6,072億円(AED 13.8B)+309%
投資区域取引額約3.30兆円(AED 75B・50地区)+181%

出典:ADREC 2026年上半期公式発表(2026年7月17日)。モーゲージの伸び率はアラビア語版の+33.5%(英語版は「over 33%」)。円換算1AED=44円。

CHAPTER 02成長の主役は、売買と海外資金

73.6%取引総額に占める売買

上半期の取引総額約5.15兆円(AED 117B)のうち、売買は約3.79兆円(AED 86.1B)。全体の73.6%を占めました。外国直接投資は約6,072億円(AED 13.8B)に達し、前年同期比+309%増。2025年通期の約3,608億円(AED 8.2B)も、半年で上回っています。

非居住投資家の国籍は116に増えました(前年82)。英国、中国、ロシア、米国、ドイツ、フランスなど、資金の出し手が多国籍化している点も重要です。一つの国や地域に依存しない投資家構成は、市場の安定性につながります。

経済の土台:非石油部門が牽引する成長

不動産の伸びは、実体経済に裏打ちされています。アブダビの実質GDPは2025年第3四半期に約14.33兆円(AED 325.7B・前年同期比+7.7%)。うち非石油部門は+7.6%で、経済構成比は54.0%に達しました。人口は2024年に4,135,985人(+7.5%)、雇用者数は2,762,715人(+9.1%)へ拡大しています。人が増え、雇用が増え、非石油の稼ぐ力が増す——住宅需要の土台がそろっています。

出典:Statistics Centre - Abu Dhabi(SCAD)。GDPは2026年2月9日公表の作成時点最新値、人口・雇用は2024年の最新公式年次値(2025年値は2026年7月22日時点で未公表)。

CHAPTER 03主要4島 — 成長の中心はどこか

2026年第1四半期の取引額上位は、次の4地区でした。それぞれ需要源と価格帯が大きく異なります。「アブダビ」と一括りにせず、島ごとの性格を見極めることが選定の第一歩です。

第1四半期エリア別取引額(億円)Hudayriyat Island約5,267Al Reem Island約4,158Saadiyat Island約3,872Yas Island約2,420超
出典:ADREC 2026年第1四半期公式発表(2026年4月7日)。Yas Islandは「55億AED超」の公式表記。本図は1AED=44円換算(棒の比率はAED値と同一)。
Saadiyat Island(サディヤット島)— ルーヴル・アブダビと文化地区
Q1取引額 約3,872億円/プライムエリア

Saadiyat Island

文化施設と超高級住宅が集まる、アブダビのプライムエリア。Louvre Abu Dhabi、Zayed National Museumなどの文化資産が島の国際的評価を高めています。2025年の住宅売買額は約6,028億円(AED 13.7B)。長期保有の海外投資家との相性がよい一方、プロジェクトによる価格差が非常に大きく、ブランド・眺望・ビーチアクセス・引渡時期の比較が欠かせません。

Hudayriyat Island(フダイリヤット島)— 低層住宅の新しいライフスタイル島
Q1取引額 約5,267億円/取引額1位

Hudayriyat Island

2026年第1四半期に取引額1位となった新しい住宅市場。ModonのNawayef、Al Naseem、Bashayerなどが市場を牽引しました。低層住宅・ヴィラを中心とした新しいライフスタイル島で、初期フェーズの成長余地が期待されます。一方、完成までの建設進捗と、引渡後の生活圏形成を確認する必要があります。

Al Reem Island(アルリーム島)— 職住近接のスカイライン
Q1取引額 約4,158億円/完成物件が厚い

Al Reem Island

完成物件と賃貸実績が多く、職住近接の需要が厚い市場。ADGMの拡張により、金融・資産運用・専門職の住宅需要がさらに強まる可能性があります。2025年の住宅ストックは約26,166戸、賃貸総額は約678億円(AED 1.54B)。新築供給も増えるため、棟・眺望・管理品質・周辺の競合物件を比較する必要があります。

Yas Island(ヤス島)— テーマパークと複合コミュニティ
Q1取引額 約2,420億円超/複合市場

Yas Island

空港、テーマパーク、商業施設、学校、ヴィラコミュニティが一体となった複合市場。観光だけでなく、家族世帯の実需と長期賃貸需要があります。2030年までの供給増加予測は主要エリアで最大級のため、完成後の競合在庫を確認して選ぶことが重要です。

CHAPTER 04価格 — アブダビを一括りにしない

ADRECの2025年データによる平均売買単価(アパート)は、島ごとに大きく異なります。一方、Saadiyatの超高級プロジェクトでは、平均単価が70,000〜90,000AED/㎡を超える例もあります。

平均売買単価(アパート・AED/㎡・2025年)Saadiyat Island約32,000Yas Island約19,000Al Reem Island約15,000
出典:ADREC Abu Dhabi Real Estate Market Report 2025(2026年上半期の値ではない点に留意)。Saadiyatの超高級プロジェクトでは平均70,000〜90,000AED/㎡超の例もある。

エリア平均はあくまで入口です。プロジェクトのブランド、階数、眺望、支払条件、管理費まで分解して比較する必要があります。同じSaadiyatでも、プロジェクト次第で単価は2倍以上に開きます。

CHAPTER 05賃貸 — 高稼働が賃料を支える

2025年の住宅賃貸総額は約7,744億円(AED 17.6B)で、前年比+7%増。件数は+3%増でした。投資区域の新規賃料は、アパートで+21%、ヴィラ・タウンハウスで+14%上昇しています。

件数より金額の伸びが大きいことから、高い入居率と新規供給の限定性が賃料を押し上げたことが分かります。利回りを試算する際は、この賃料上昇が新規供給の増加とともに今後も続くかを保守的に見積もる必要があります。

出典:ADREC Abu Dhabi Real Estate Market Report 2025(2026年上半期の値ではない)。

CHAPTER 06供給 — 2030年までに約5.8万戸増える

ADRECは、アブダビ全体の住宅ストックが2025年の約40.1万戸から、2030年には約45.9万戸へ増えると予測しています。増加が大きいのは、Yas、Reem、Saadiyatなどです。

供給増は、それ自体が市場の弱材料ではありません。重要なのは、同じ時期に、同じ価格帯・同じ間取りの物件が一つのエリアへ集中するかどうかです。購入時には、エリア全体の供給戸数ではなく、引渡年と競合物件を確認します。

出典:ADREC Abu Dhabi Real Estate Market Report 2025。

CHAPTER 07外国人所有と、購入時の確認事項

外国人は、アブダビの指定投資区域内で不動産を所有できます。2026年上半期に8地区が追加され、投資区域は合計50地区になりました。購入前には、少なくとも次の5点を確認します。

#購入前に確認すべき5点
1Madhmoun 広告許可番号
2仲介会社・ブローカーのADRECライセンス
3プロジェクトとSPA(売買契約書)のADREC登録
4エスクロー口座と支払先
5譲渡条件、管理費、完成後の賃貸・相続
売買登録料は原則2%、売買仲介手数料も2%が基準です。個別案件では、売主負担・買主負担・デベロッパー負担など契約条件が異なるため、最新の請求書と契約書を必ず確認してください。

CHAPTER 082026年下半期の見通し

当研究所の基本シナリオは、「成長継続と正常化」です。Q1の記録的な伸び率をそのまま将来へ延長することはできません。しかし、外国資金、人口・雇用、投資区域の拡大、新規プロジェクトという需要の土台は維持されています。市場全体の成長は続く一方、物件ごとの差は広がると考えます。

今後の物件選びでは、次の3点が重要です。

#下半期の物件選定・3つの論点
1完成後の需要源が明確か(観光・実需・金融雇用・長期保有)
2同じ引渡時期の競合供給が多すぎないか
3価格だけでなく、支払条件と総保有コストに優位性があるか

アブダビは「まだ知られていないから買う」市場ではありません。需要と制度が数字で確認できる段階に入り、選んで買える市場になりました。

エミネンス・ラックスがアブダビ支店を開設した理由
当社は、アブダビ市場の変化を見越してADRECライセンスを取得し、2026年5月にアブダビ支店を開設しました。ドバイの代替としてアブダビを勧めるためではありません。ドバイとアブダビを同じ基準で比較し、お客様の投資目的に合う都市と物件を提案するためです。流動性と市場規模を重視する場合はドバイ、政策主導の長期成長やUAE内での地域分散を重視する場合はアブダビが候補になります。なお、当社の直近12ヶ月(ドバイ・アブダビ合計)で約70件・約80億円(DLD登記完了ベース/1AED=44円・2026年7月時点換算)の仲介実績が、この二都市体制の土台です。

FAQよくある質問

アブダビ不動産は外国人でも購入できますか?

はい。外国人は、ADREC(Abu Dhabi Real Estate Centre)が指定する投資区域内で不動産を所有できます。2026年上半期に8地区が追加され、投資区域は合計50地区になりました。物件ごとに投資区域、取得する権利の種類、登記条件を確認してください。

ドバイ不動産とアブダビ不動産はどちらがよいですか?

目的によって異なります。ドバイは市場規模、流動性、物件の選択肢が強みです。アブダビは政策主導の都市開発、供給規律、長期保有との相性が特徴です。流動性と市場規模を重視するならドバイ、政策主導の長期成長やUAE内での地域分散を重視するならアブダビが候補になります。両都市を組み合わせる方法もあります。

アブダビで注目すべきエリアはどこですか?

Saadiyat Island、Hudayriyat Island、Al Reem Island、Yas Islandが主要候補です。2026年第1四半期の取引額上位はHudayriyat(約5,267億円)、Al Reem(約4,158億円)、Saadiyat(約3,872億円)、Yas(約2,420億円超)でした。ただし需要源と価格帯が異なるため、投資目的に応じて選ぶ必要があります。

アブダビ不動産の利回りはどの程度ですか?

エリア、物件タイプ、管理費によって大きく異なります。ADRECの2025年平均売買単価と賃料データからは、YasやAl Reemのアパートで比較的高い表面利回りが示唆されますが、個別物件では空室、管理費、家具、仲介料などを控除して試算してください。

オフプラン物件の代金はどこに支払いますか?

原則として、ADRECが承認したプロジェクトのエスクロー口座へ支払います。個人口座や登録を確認できない口座への送金は避け、SPA(売買契約書)、プロジェクト登録、支払先を照合してください。

関連:ドバイ不動産 2026年上半期レポートエミネンス・レポート一覧UAE不動産の購入ガイドUAEの税務

データ出典:Abu Dhabi Real Estate Centre(ADREC)2026年上半期公式発表(2026年7月17日)/ADREC 2026年第1四半期公式発表(2026年4月7日)/ADREC Abu Dhabi Real Estate Market Report 2025・H1 2025/Statistics Centre - Abu Dhabi(SCAD)/Department of Culture and Tourism - Abu Dhabi/ADGM公式発表。

注記:円換算は1AED=44円(data/fx.json・2026年7月11日時点)で統一。取引総額はADRECの定義に基づき、売買・モーゲージ・ムサタハ等を含みます。価格・賃料・供給の各値はADREC Market Report 2025に基づき、2026年上半期の値ではありません。第2四半期の内訳(約2.24兆円/AED 51B・売買 約1.54兆円/AED 35.1B・モーゲージ 約5,148億円/AED 11.7B)は、上半期累計から第1四半期を差し引いた当社計算値です。GDP・人口・雇用は作成時点で公表されている最新の公式値(GDPは2025年Q3、人口・雇用は2024年)であり、2025年の年次値は2026年7月22日時点で未公表です。各指標は算出方法・集計定義が異なるため、水準の直接比較はできません。

免責:本レポートは情報提供を目的とし、特定物件の勧誘や投資成果の保証を行うものではありません。将来見通しは作成日時点の公開情報と当社分析に基づく見解であり、実際の結果と異なる可能性があります。投資判断はご自身の責任にて、最新の一次情報をご確認のうえ行ってください。無断転載を禁じます。引用の際は「エミネンス・レポート(Eminence Luxe)」と出典を明記してください。

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